2012年07月号(Vol.191)英語でジャーナル! (Basic 4 以上のクラスで実施)
今年度のカリキュラムから、B4以上のクラスでジャーナルを書いてくることを宿題としています。ジャーナルとは、その週の出来事やその感想です。今回は、ジャーナル導入に至った経緯などを特集します。
ジャーナル継続で著しい上達が期待できる
Basic 2以上のクラスでは、”Do you have a good week or a bad week?(良い一週間でしたか、それとも悪い一週間でしたか?)”
または、”What’s new?(何か変わったことは?)” と週末の出来事などを話すことからレッスンを始めています。発表する内容を事前に辞書で調べてノートに書いて準備してくる生徒さんもいますが、クラスの始まる直前に、コーディネーターをつかまえて、「○○○は、英語で何て言う?」と慌てて準備している光景もよく目にします。毎週、”I
played baseball. (野球をしました)” と同じ発表をしている生徒さんもいるようですが、残念ながらこのやり方では上達は望めません。一方、事前に辞書等で調べ準備してきている生徒さんたちの上達には目を見張るものがありました。そこで、昨年度、試験的に一部のクラスでジャーナルに取り組んでみることにしました。
試験導入期間の問題点
最初は戸惑う生徒さんの方が多かったようです。会話クラスには、「総合英語クラス」を履修していて文字の読み書きができる生徒さんと、できない生徒さんが混在しているケースがあります。文字の読み書きを習っていない生徒さんにとって、英語でジャーナルを書く作業はとても困難だったようです。でも、「継続は力なり」。毎週続けていると少しずつ、書く内容にも変化が見えてきます。始めたころは2行、3行の英文を書くのがやっとだったのが、半年後にはノートいっぱいにその週の出来事や感想などを書いてくる生徒さんも増えていました。しかし、ジャーナルの量が増えればその修正にも時間がかかります。修正に時間がかかり過ぎ、本来の会話練習の時間が少なくなってしまっているのではという反省も聞かれました。また、ジャーナルは過去形を使うことが多く、通常のレッスンで過去形を習っていないのにジャーナルを書くことはカリキュラム上も無理が生じるという反省もありました。
ジャーナルは自己表現能力を高める
ジャーナルは文の組み立ての基礎力や独創性を養うのにとても有効です。会話には即興力も必要ですが、まだまだ語彙が不足している段階ではインプット(覚えること)が欠かせません。自分の言いたいことを英語の文字にしてみるという作業は、ある程度基礎力がついてきた学習者が次のステップにいくためにとても重要です。
ニッセイトは、「伝えたい心を育て、伝える技術を養う」を教育のモットーにしております。この観点からも、自分の伝えたいことをノートに書く習慣は、英語での自己表現を養う上でとても大切だと考えています。英語でどう表現したらよいか分からず行き詰ってしまうこともあるかと思います。そんな時こそ、積極的に和英辞書、英和辞書を活用し、例文から自分の言いたいことに似た表現を見つけ、置き換えてみることが大切です。こういった学習を積み重ねることで、英語を組み立てる能力が格段に養われていきます。
カリキュラム導入へ
今年度のカリキュラムに組み入れることを前提に、様々な角度から検討を重ね以下の指針を設けることにしました。
<ジャーナル導入の指針>
●クラスレベルは、Basic 4以上のクラスとする。
●「総合英語クラス(GE)」を履修していない生徒 さんへは、保護者の協力をお願いする。
●「ジャーナル」の修正は最低限とし、カリキュラ ムに沿った会話学習の時間はしっかり確保する。
●初年度は3行くらいの英文を書けるようにし、 ノートを見ないでも書いてきたことを発表できる ようにすることを目標とする。
参考書の利用
英語の日記を書くための参考書籍を利用してみるのもひとつです。市販されているものでお勧め書籍を紹介します。
「ジュニア・アンカー英和・和英辞典」
(学研マーケティング出版)2993円
ジャーナルに和英・英和辞書は不可欠です。小学生のうちは電子辞書よりも紙の辞書のほうがオススメです。
「みんなのえいご日記ドリル」(出版社アルク、石原真弓監修)1200円
初めて英語で日記を書いてみようとしている生徒さんにはとても参考になると思います。日記でよく使う表現を学びながら、まず2行の日記を書く練習をしていきます。
「英語日記ドリル〔COMPLETE〕」
(出版社アルク、石原真弓著)1575円
身近な出来事を英語で表現するために必要な60構文、言いたいことが見つかる単語やフレーズが満載です。英語日記をレベルアップさせるための一冊です。
上記書籍の著者である石原真弓さんは、「えいご日記を続けると4つの力が定着する」と述べています。その4つの効果とは?
【効果1】英語を「書く力」がつく!
【効果2】自分で「考える力」がつく!
【効果3】英語の文を「組み立てる力」がつく!
【効果4】日々の出来事や気持ちを「表現する力」 がつく!
ジャーナルは、単に英語を書く能力を養うだけでなく、複合的な相乗効果が期待できるようです。
最初は親も苦労しました!
川越スクールに通う愛理さん(小5)は現在B4レベルに在籍中ですが、昨年からジャーナルに取り組んでいます。愛理さんは毎週、ノート1ページにいっぱい書いてきます。でも、最初の頃は大変だったようです。愛理さんのお母さんは、「ジャーナルが宿題として出された最初の頃は本当に大変でした。いつも一緒に辞書をひいて二人で格闘していました。でも最近は、自分一人で辞書をひきながら書いています」とお話いただきました。また、同じクラスの聖くん(小4)のお母さんからも、「本当に最初の頃は大変でした。でも、最近は私の助けなしでも書けるようになってきました。内容的に同じ表現の繰り返しで単調になっていたのが気になっていましたが、『新・英語日記ドリル』を購入してからは、その中に載っている表現を応用して書いているので感心しています」とお話いただきました。
※ニッセイトのホームページでは、5分程度に編集したこのクラスのレッスンの様子をご覧いただくことができます。
編集後記
The long journey begins with a single step. (千里の道も一歩から)
継続することの大切さは分かっていても、実際にやり続けることは至難の業。でも1年間続けられたら得られるものも大きいですね。本文中に紹介させていただいたクラスの1年分のジャーナルを読ませてもらいながら、こんなジャーナルを1年間続けたら相当な力がつくだろうなとつくづく思いました。個人ではできなくても、同じように取り組む仲間がいたり、応援してくれる人がいれば頑張れることってありますよね。