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2008/11/01

2008年11月号(Vol.150)1年で驚くほどに上達 その上達を支えるのは?


1年で驚くほどの上達
その上達を支えるのは?

 この夏のサマーキャンプで著しい上達を見せた生徒さんがいました。高沢佑斗君(小5)です。彼は、昨年の夏、オーストラリアの交流プログラムにも参加しました。オーストラリアでは現地校の子どもたちと積極的にコミュニケーションを楽しんでいましたが、英語は単語レベル。しかし、今年サマーキャンプでは、外国人カウンセラーと文章で会話を楽しみ、自分の意見を主張していました。この1年、佑斗君はどんな努力をしてきたのでしょう? 担当講師から話を聞き、そして、佑斗君とお母さんにインタビューをしました。


帰国子女クラスを勧めました

           Martin Burns

 Yutoの担当講師から彼がすごく上達していて今のクラスでは物足りないのではないかという相談を受けました。そこで私は、私が受け持つ帰国子女クラスの体験を勧めました。
 このクラスはYutoにとってとても衝撃的だったようです。今まではクラスで一番、ところがこのクラスでは違いました。Yutoよりも年齢の低い子が英語で自由に会話をしているのを目にしたのです。Yutoはかなり緊張した様子で、私のどんな易しい質問にさえも “I don’ t know.” としか答えませんでした。レッスン後の彼の感想も「楽しくなかった。クラスは変わりたくない!」と不機嫌でした。
 しかし、私を含め他のスタッフも彼にはこのクラスの方が良いという意見に変わりありませんでした。ですから、彼のお母さんと一緒に「もう一度、このクラスをトライしてみない?」と説得しました。2回目は緊張感もほぐれたようで、発話も前回より増えました。そして、Yuto自身もこのクラスでやってみたいと気持ちが固まりました。そして、数週間後、Yutoはすっかりクラスに溶け込んでいました。そればかりでなく、それまでに蓄積されたたくさんの語いが溢れるように出てきたのです。

■言葉の学習は模倣から始まります。赤ちゃんがそうですね。こういうふうに使うんだよと促してみたり、また誰かが使っているのを聞いて真似てみたり。ニッセイトがクラスにコーディネーターを配置しているのも、子どもたちがネイティブの先生の質問に対してコーディネーターの受け答えを真似できるようにという狙いがあります。佑斗君は同じクラスの友だちを観察しながら、話すコツを掴んだのでしょう。


佑斗君にインタビュー

–去年と比較して自分の英語上達をどのように感じる?
オーストラリアでは、簡単な英語しか話せませんでした。でも、最近は自然と英語が出てくるようになってきました。

–オーストラリアから帰ってきて、勉強の仕方は変わった?
はい。それまでは、宿題のCDは1回聞いて終わりだったんですけど、今はリピートしたり、大切なフレーズを覚えるようにしています。

–ラジオ講座も聞いているとか…
はい。最初の頃は、「基礎英語1・2・3」を聞いていたんですけど、だんだん簡単になってきたので今は、「ラジオ英会話」を夜の9:45-10:00、「チャロの英語実力講座」を10:20-10:35までほとんど毎日聞いています。

–今年から「帰国子女クラス」に移りましたね。最初にそのクラスを体験した時の感想は?

無理と思いました。皆が自由に会話をしているのに、自分は思うように言えなくてとても悔しかったです。

–でも、どうして移る決心ができたの?
自分もあんなふうに話せるようになりたかったし、2回目にはレッスンで使っているテキストのコピーとCDを借りて予習して行ったので大丈夫かなと思えました。

–夏前には英検3級にも合格。努力が着実に実を結んでいますね次の目標は何ですか?
中学生になったら短期留学もしてみたいです。

–応援しています。がんばってくださいね。


お母さんにもインタビュー

–お母さんは、この1年間を振り返って佑斗君の英語学習にどのような変化を感じますか?
ますます英語が好きになったようです。

–それは、どんな事象から感じますか?

自分から進んで宿題をするようになったり、またラジオ講座を自発的に聞くようになったからです。

–ラジオ講座を聞くようになったのはどんなきっかけからですか?
オーストラリアから帰ってきて、「また行きたい!」とすごい勢いだったのです。今度は短期留学もしてみたいというので、今はそのためにももっと英語力を身につけようということからラジオ講座を勧めました。

–思い立って聞き始める人は多いようですが、それを継続できる人は少ないです。ラジオ講座を聞くことが習慣化されるまで高沢さんはどんな工夫をされたのですか?
最初の1ヶ月くらいはいつも一緒に聴いていました。最近は、時々、自分の英語の勉強になると思い一緒に聴いています。「お母さん、こんなのも知らないの?」なんて言われることも多くなってきました(笑)。

–ご両親は英語が得意なんですか?
いいえ。二人とも全然だめです。でも、私は学生時代から好きではありました。英会話スクールに通った時期もありましたが、外国人を目の前にすると頭の中が真っ白になってしまって何も話せなくなってしまうんですね・・・(笑)。ですから子どもたちには、早いうちからネイティブの先生に習わせたいと思っていました。

–入学は3歳の時でしたね。これまで、通うのを嫌がったりして通わせるのが大変だった時期はありますか?

「理解できてないな」「上達してないな…」と思う時期はありましたが、ここでやめてしまっては今までの積み重ねがもったいないと思い、なるべく一緒に取り組んできました。本人も今まで一度も、やめたいと言ったことはありません。

–悩まれた時期はありましたか?

一時期、講師の交代が頻繁にあって不安になった時期はあります。でも、その時、コーディネーターに「たくさんのネイティブの先生に触れられるいいチャンスだと思ってください」と言われ、「そういう考え方もできるな…」と思いなおしました。

–お母さんは佑斗君の英語学習をこれまでどのように携わってこられたのですか?

我が家は車で移動することが多いので、出かけるときはいつも英語のCDをかけるようにしていました。

–ご家庭では?
今はほとんど一人でやっていますが、幼児の頃は一緒に歌を歌ったり、私がカードに絵を描いて単語を覚える練習などをしていました。小学校の低学年の頃も一緒にテキストを開いてCDを聴く練習はよくしていました。子どもにやれといっても1人ではできないですし、私がもう一度英語をやり直す良い機会と思って取り組みました。

–高沢さんのご家庭では、今、佑斗君の妹さんと弟さんにも通っていただいています。ニッセイトのどんなところを気に入っていただいていますか?
そうですね、子どもが英語を楽しく学習できる環境が整っているところだと思います。

–本日は貴重なお話をありがとうございました。


■お話をうかがっていて改めて感じたことは、伸びているお子さんは、家庭学習がきちんとできているということです。分かりきっていることですが、これが難しいんですよね。自発的、継続的に家庭学習ができるようになるためにはどうしたらよいのでしょうか?多くの保護者の方が頭を悩ませている問題だと思います。高沢さん母子のお話の中にたくさんのヒントがあるような気がします。

①子どもにやりなさいと言うだけではダメ。一緒に取り 組むことが大事。
②小さいうちから英語をたくさん聴かせる環境をつくる ことが大事。
③子供の成長に合わせタイミング良く、いろいろな機会 を与えてあげることが大事
④予習をすれば授業が分かり、楽しくなる。

もし、お子さんが伸び悩んでいるとしたら、まず保護者の方が一歩を踏み出すことが必要なのかもしれませんね


帰国子女クラスって何?

 子女の「子」は男子、「女」は女子という意味で、帰国子女とは海外での長期滞在生活を経て帰国した子どもたちのことです。帰国子女クラスは、それまで身につけた英語力維持を目的としています。現在、池袋に1クラス、川越に2クラスあります。最近では、英語幼稚園卒園後に英語力保持を目的として入学される生徒さんが増えてきています。川越スクールに通う神部咲希さん(小3)もその1人です。1歳でご両親が英語教材のセットを買い与えてあげたのが英語との出会いだったそうです。咲希さんはとても英語に興味を持ち、その吸収力にご両親も驚いたそうです。こんなに英語が好きならと、3歳の時、英語の幼稚園に入学し、卒園時にそれまでに培った英語力保持のためニッセイトに入学しました。咲希さんは、2年前のクリスマス発表会で「Kind
Wolf」を演じ、見事、最優秀演技賞を受賞しました。(ニッセイトのHPでも彼女の演技を見ることができます)


編集後記

One father is more than a hundred school-masters.
(1人の親は百人の学校教師にまさる)

 お子さんが宿題や家庭学習を自発的に取り組んでいたら親としてはとても安心(?)ですよね。でも、そういう姿勢ができているお子さんは多くの場合、そう育てられてきたのでしょう。「子は親を見て育つ」と言われます。我が身を反省しつつ、今やっていることをより実りのあるものにするためにも、子どもが反抗期に入る前に(?!)今しかできない子育てをもっと積極的に取り組まねばと思いました。