ニッセイトの目指す英語力!
ニッセイトは今年、40周年を迎えます。ニッセイトで英語を勉強した人も既に数万人に及び、社会第一線で英語を武器に活躍する卒業生も増えてきています。昨今の生徒さんたちを見ていて感じるのは、10年前と比較しても飛躍的にレベルが高くなっていることです。とはいえ、社会から求められている英語力も時代の流れと共に高まっています。英会話を楽しむレベルでなく、武器として扱えるレベルが求められています。
高校入試にも変化が
最近の高校入試問題を見ていて感じることは、英語力の本質を見るための問題が多くなってきていることです。英語のリスニング問題はもちろんですが、埼玉県の公立高校の入試問題には、ここ何年か自由作文の課題が出題されています。平成23年度は、「あなたの楽しかったことや、楽しんでいるものを5文以上の英文で書きなさい」といった出題内容でした。普段からジャーナルを書いている生徒さんたちにとってはそれ程難しくはないと思いますが、公立中学の授業を受けているだけの生徒さんにはかなり負担の大きい問題ではないでしょうか。英検なども同じような傾向があります。二次試験の英語面接では、個人の体験や意見を述べさせるような問題が出題されます。多くの受験生が私たちのような英語教室や学習塾に対策を委ねる所以です。
さて、英語力に関して言えば、時代は更なる上のレベルを求めています。それは、「英語で議論できる」レベルです。時代はグローバル化。いろんな国の人が同じ会社で働く時代です。単にあいさつ程度の英語では事足りません。社内でいろんな角度から議論し、訴求していく能力が期待されます。まさに、英語でディベートができるレベルです。ニッセイトでは、今後、このディベートを上級クラスで積極的に取り入れていきたいと考えています。
ディベートって何?
「ディベート」って聞いたことがありますか? 議論をすることだろうということまでは知っていても、体験したことのある人は少ないのではないでしょうか。欧米では小さいうちから学校教育に取り入れられています。東京都では、2014年度からの小、中学校の新指導要領にディベートを組み入れるそうです。
では、具体例をみてみましょう。まず、ディベートには「論題」と呼ばれるテーマがあります。その論題に対して話し合う人たちが賛成の立場(肯定側)と反対の立場(否定側)の2つのグループに分かれて、意見を述べ合います。審判は、その意見の述べ方、反論などを聞いて、どちら側のグループがより説得力があったかを判断し、勝敗を決めます。ただし、スポーツでもそうですが、試合にはルールが必要です。ディベートにもいくつかのルールがあります。
1、基本的なルールとしてディベートは、賛成側と反対側が決められた順序と時間の中で意見を述べなければなりません。賛成や反対の立場は自分の本心と違ってもよく、くじ引きで決まることもあります。
(簡単ディベートの一例)
①賛成の立場の意見
②反対の立場の意見
③反対側の質問とその応答
④賛成側の質問とその応答
⑤審判の判定
2、主張には根拠が必要です
3、証拠資料は第三者が入手可能なものであること こと
4.非礼行為は慎まなければなりません 等です。
例えば、「ペットにするなら犬と猫では犬の方が良い」という論題に対して、どんなディベートが繰り広げられるか一例をみてみましょう。
<ディベートの実践例>
論題:「ペットにするなら犬と猫では犬の方が良い」
賛成側:ペットにするなら猫よりも犬の方が良いと思います。その理由は、3つあります。1つは、犬は人間の役に立つということです。2つ目はこちらの資料を見てください。(下図)内閣府が2003年に実施した「動物愛護に関する世論調査」の結果です。中でも一番人気は「犬」の63.8%。「ネコ」は、29.2%です。犬の方が猫よりもこれだけ人気があるということは、それだけペットに適していると考えます。(略)以上の事から、私たちは、ペットに飼うなら猫より犬のほうが良いと考えます。
反対側:私たちは、ペットにするならむしろ猫の方が良いと考えています。その理由は3つあります。
1つ、猫は散歩に連れて行く必要がなく、飼いやすいということです。(略)以上の点から、ペットにするなら犬よりも猫の方が良いと考えます。
反対側の質問:人間に役に立つ犬とは多大な時間をかけてトレーニングされた犬です。一般のペット犬の場合、犬の方が猫より役に立つとは言えないと思いますが、どう考えますか?
賛成側の応答:確かに人間社会に役立っている犬はトレーニングが必要です。しかし、犬は賢く、躾ければ学ぶという特性があります。躾けがいがあるという意味においても、猫より犬の方がペットに適していると思います。
賛成側の質問:猫は散歩に連れて行く必要がないから飼いやすいといいましたが、狭い部屋の中だけで飼えば、猫も運動不足になるのではないですか?
反対側の応答:猫は狭い部屋の中でも十分な運動をすることができるため散歩に連れて行く必要はありません。
審判の判定:両チームとも熱意の感じられる良い試合でした。判定は、賛成側の勝利とします。肯定側の用意した資料に対して反論できなかったのはマイナス材料です。ただし、否定側は運動不足の指摘に対してうまく反論していました。(等)
参考資料:「ディベートを楽しもう」(伊藤園子、若林千鶴著)さ・え・ら書房出版
評論家として有名な田原総一朗氏は、「ブレーンストーミングや国際会議等で日本人はあまり発言しません。正解を言わないと恥ずかしいと思っている。それに対して欧米人はどんどん発言する。どんどん発言するのが能力のある事だと教えられているからです」と語っています。共感する発言です。ディベート学習を通して情報収集力、発表能力を高め、ビジネス社会の第一線でも活躍する人材がニッセイトから育っていくことを願ってやみません。
編集後記
There are two sides to every question.
(物事には常に両面がある)
「説得力」を辞書で調べたら、相手に「なるほど」と思わせる言葉の力とありました。同じ内容でもAさんが言ったら誰も反応しなかったのに、Bさんが言ったらみんながそうだ、そうだと納得した、というようなことがあります。みんなの関心事を理論的に整理し、いろいろな資料を引用しながら共感を得るように話を導く…。こんな技量を持った人はビジネスの社会でも引っ張りだこです。ニッセイトは、そんな素地づくりを英語の学習を通してお手伝いができたらと考えています。