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1998/04/01

1998年4月号(Vol.33)出会い  そして別れ


 

出会い
  そして別れ

 ニッセイトに入学されてから何人くらいの先生との出会いがありましたか。今でも印象に残っている先生や忘れてしまった先生もいるでしょう。最初は苦手でもだんだんと好きになった先生もいるかもしれません。人との出会いや別れは、人生の岐路に大きな影響を与えることもあります。3月に退職したゼザ先生、カミーラ先生ともたくさんの思い出をつくられた方も多いのではないでしょうか。今月号では、その二人の先生のインタビューを紹介します。


Zeza先生(出身:ポルトガル)

–ニッセイトでは、どのくらい教えていましたか?
日本に来てからですから、3年半くらいになります。
–日本に来た主な目的は何だったんですか?
LOVE(愛)です!(96年12月に国際結婚)
–日本に来て、何か驚いたことはありますか?
日本に来てから間も無い頃のことです。郵便局を探していました。P(駐車場有)という文字がビルの看板にあったんです。てっきり郵便局(Post Office)のPだと思って中に入りました。入り口に靴が脱いであったんで、「日本では、郵便局に行くのにも靴を脱ぐのか」と思いながら中に入りました。そしたら、裸の男の人が出てきたんです。郵便局どころか、銭湯だったんです。ポルトガルには、銭湯なんてありません(笑い)。
–ポルトガルに比べて日本のどんなところが気に入っていますか?
お寿司です! それから、日本人は一般にとても優しく、信頼できます。それに教養もあります。ここでは、ほとんど貧困がないように見えます。
–ニッセイトでの思い出は?
友達に言われたことがあるんです。「もっと気楽にやれば。日本にずっといるわけでもないでしょう。それに、ニッセイトだってただの仕事じゃない」。私は答えました。「夫は日本人だから日本は永遠だし、ニッセイトは私にとって日本の家族なのよ」って。職場の仲間、生徒、そして私を応援してくれた保護者の方たちとの出会いが一番の思い出です。
–4月からご主人と二人で6ヶ月も旅行をされるそうですが……。
去年の秋に夫が弁理士の国家試験に合格するまで、彼は勉強ばかり。あまりゆっくりすることがなかったんです。だから、私たちにとってこれがハネムーン(照れ笑い)。まだ行程ははっきりしていませんが、4月、5月には、タヒチ、タイ、ラオス、ベトナム、6月にロンドン、7月に私の故郷ポルトガルに行き、そこでエキスポ ‘98を楽しむ。それから10月まで南アメリカのアマゾン流域などを旅する予定です。生きていれば、11月までには日本に戻る予定です(笑い)。無事を祈っていてください!
–ニッセイトの子供たちに何かメッセージを!
はい。イエスさまの言葉をそのまま捧げます。「神を心から愛しなさい。また隣人を自らのように愛しなさい」。英語はこれからも楽しく勉強していってください。英語はこの大きな世界のいろいろな楽しい扉を開ける鍵になるかもしれませんよ。


 

Camilla先生(出身:イギリス)

–日本に来てどのくらいになりますか?
もう4年です。
–ニッセイトでは、どのくらい教えていたんですか?
ちょうど2年くらいですね。
–日本に来た主な目的は何だったんですか?
イギリスを出て、世界を体験したかったんです。日本もそのひとつでした。
–日本に来て、カルチャーショックはありましたか?
はい!もういろいろな文化の違いに戸惑いました。まず、人混み、生活ペースの速さ、満員電車、そして、夜中までこうこうと輝くネオンなどなど……。
–イギリスに比べて日本のどんなところが気に入っていますか?
そうですね、日本は安全という点かな。それから、ここ東京では、仕事のキャリアを養うのにたくさんのチャンスがあるという点も好きです。ロンドンでは、作家活動や歌手活動などとても難しいです。
–日本の生活の中で何か我慢できなかったことはありますか?
ええ、いっぱいあります! 今では、“違い”がだいぶ理解できるようになってきましたし、また、慣れてもきました。でも、人混みや満員電車は今でもうんざりします。
–イギリスの子供たちに比べて、日本の子供たちに何か違いを感じましたか?
日本の子供たちは、真面目でとても勤勉です。それにイギリスの子供たちよりおとなしいですね。
–ニッセイトでの思い出は?
’96年のクリスマス・フェスティバルはとてもいい思い出です。とくに『白雪姫』の英語劇を演出したのが一番です。それから、子供たちの英語の上達と成長を見ているのがとても楽しかったです。
–いやな思い出はどうですか?
???? ’96年のサマーキャンプかな。暑さと、言うことを聞かない外国の子供たち(在日している諸外国の子供たちが特別参加)の世話でへとへとでした(笑い)。
–ニッセイトの子供たちに何かメッセージを!
みんなに会えて良かったです。私を支援してくださった保護者の皆さま、本当にありがとうございました。これからも勉強に励み、人生を楽しんでください!!!!!


 

今月のへぇー

“頭なでなで”はタブー
「あら、おりこうさんね」などと言って子供の頭をなでている光景、日本ではよく見かけますよね。しかし、タイへ行ったら、むやみにこんなことをしてはいけません。頭には精霊が宿っていると信じられていて、たとえ相手が子供であっても、人の頭に触れることはタブーとされているからなんです。へぇー。


連載特集

ガンバレ沙耶ちゃん、達也君!

皆様、お元気ですか? 早いもので私たちがアメリカに来て1年が経ちました。アメリカに移ってからの5ヶ月間、子供たちと私の悪戦苦闘ぶりをお便りしてきました。あれから7ヶ月…。 昨年9月、沙耶は 1st grade、達也は 8th gradeに進級し頑張っています。特に沙耶はこちらがびっくりするほど英語力もアップし、担任になった先生も、私が話すまで、まだアメリカに来て間も無いということに気づかなかったほどです。宿題なども「英語の方が簡単でいいや」などと言い、今では漢字練習が一番の苦手です。発音はやはり小さいうちほど吸収力があるようで、今では、「お父さんや、お母さんの英語は日本人英語だね」なんて言っています。「R」「L」をきちんと区別して話している子供が羨ましいです。達也は中学生ですので勉強も難しく、苦労も多いようです。しかし、それなりに単語数も増え、言われていることはかなり理解でき、最近では自分から話すようになってきたという感じです。
私は、毎日が子供のおかかえ運転手。車がなくてはどこへも行けないアメリカ。朝夕の学校の送り迎え、おけいこごと、おまけに友達の家へ遊びに行くのも親の送迎が必要です。毎週300マイル(約500km)は走っています。私は日本にいる時からわりとドライブが好きだったのでそれほど苦痛ではありませんが、アメリカに来てから運転を始めたお母さん方にはかなり重荷になっているようです。私も慣れ過ぎることなく“安全運転”を心がけたいと思っています。

1998年3月 平野悦子


 

編集後記
When in Rome, do as the Romans do.
郷に入りては郷に従え
有名なことわざですね。文化、生活習慣が異なる異国の地で生活するということは大変なことです。しかし、「日本では日本人のように…」といって、一方的に日本に住む外国人に、こちらの常識を押し付けてしまうのはいかがなものでしょう。お互いの違いを認識し、まず「違う」ということを受け入れ、お互いに歩み寄る努力も必要に思います。