1997年4月号(Vol.28)ニッセイトの目指すトータルバランスって何?
ニッセイトの目指す
トータルバランスって何?
児童英語教育には何が大切なのでしょうか?創立より24年間ニッセイトが取り組んできた問題です。様々な試行錯誤を繰り返す中で得た結論は、「学習のトータルバランスこそが最も大切である」ということです。今月号は、ニッセイトのトータルバランスの根幹をなすカリキュラムがどんな経過を経て現在に至ったのかをご紹介します。
使える英語を目指して
ニッセイトの設立は1973年です。1970年に大阪で万国博覧会が開催され、多くの外国人が日本を訪れ、国際化が非常に身近に感じられるようになりました。一方、義務教育にまでなっていた英語は、「通じない」「話せない」という事実に直面し、危機感を募らせました。ニッセイトの誕生の理由もここにあります。これからの世代を担う子供たちが、英語の楽しさ、使える喜びを体感し、国際社会に翔たいていって欲しいとの願いからです。
英語での授業
設立当初、講師陣は全て日本人でした。授業は極力英語で進め、楽しい英語、実用的な英語の授業を目指していました。日本人講師ですと発音問題を危惧する声もありますが、この点はテープ学習でカバーできます。また、先生が日本人ということで安心感もあり、精神面や技術面においても行き届いた指導ができることも利点です。This is a pen. からではなく、Hello, how are you? から始まる英語で、いろいろなゲームを通して遊び感覚から英語を導入していきました。
メンタルブロック
ただし、実践の場も必要です。そこでサマー・キャンプが企画されました。カウンセラーに外国人を招き、子供たちが生活の中で英語を体験するものです。当時、日常生活で外国人を見かけることも希で、キャンプに参加する子供たちは目を輝かせました。また、大きな体をした外国人をまるで怪物を見るかのように眺める子や、クラスでは優秀な生徒も実際に外国人を目の前にすると、尻込みしてしまう子もいました。”What’s your name?”の簡単な質問にも、近くの友達に「名前かな?」などと尋ね、答えに詰まってしまう姿も見られました。これは、いわゆるメンタルブロック現象です。英語や外国人に対して、無意識のうちに壁ができてしまうのです。
もっと実践の場を
そこで今度は、実践の場を増やすために、外国人の定期的なスクール訪問、日本人講師とのペア・ティーチングを試みました。しかし、外国人講師のスクール訪問では、毎回、表面的な会話レッスンだけに終始してしまう傾向にあったり、また、ペア・ティーチングでは、子供たちは日本人講師に頼り過ぎ、生徒と外国人講師との直の信頼関係が築きにくいことが分かってきました。そうして生まれたのが、外国人講師が授業を全面的に担当する現在の「会話クラス」です。そして、外国人講師と生徒、父母との言葉の問題を解決するために、その橋渡し役としてコーディネーターを設けました。クラスでは特に年齢の低い子ほど順応が早く、とても自然に外国人講師に接する姿勢は頼もしさを感じさせてくれます。先生の英語による指示にも素早く反応でき、メンタルブロック的な面を感じさせません。また、学習歴と共に自分を英語で表現することも少しずつできるようになってきます。
落とし穴?
小学校時代とても英語が好きになり、自信を持って中学に進んだ子供たちにも落とし穴(?)がありました。日本語でも難解な文法用語で英語を説明され、英語が厄介なクイズになってしまうのです。ピリオドひとつで減点、正解はひとつ。テストで点数が取れなくなると、自信を失い、英語そのものが嫌いになってしまうケースです。
総合英語クラスの充実
中学以降も子供たちには、英語に自信を持ち、好きであり続けて欲しいと思います。そのためには、学校での授業にも余裕が必要です。「わかる楽しさ」「できる楽しさ」が必要なのです。ニッセイトでは会話クラスで英語の音声に慣れてきた生徒に、日本人講師が担当する「総合英語クラス」を「会話クラス」とは別に案内しています。初期の段階では、フォニックス学習を通して文字と音の関係を学び、絵本などでたくさんの文章に触れ、徐々に文の組み立てといった文法的な学習を進めています。そして、中学生以降は文法力も強化していきます。
ニッセイトのカリキュラム
外国人講師、日本人講師のそれぞれの持ち味、得意分野を活かし、その導入の最適な時期を考慮して、現在のカリキュラムが出来上がりました。英語には、「聞く」「話す」「読む」「書く」の四技能があります。これらは、どれも英語を使ったコミュニケーション活動には欠かせません。ニッセイトは、これらをバランス良く学習していくことが大切と考えています。そして、「会話クラス」、「総合英語クラス」は、ニッセイトの目指すバランス学習の大切な根幹なのです。
今月号より連載
がんばれ沙耶ちゃん、達也君!
ニッセイト川越スクールに通っていた平野達也君(中1)、沙耶ちゃん(小1)が、お父さんの転勤でアメリカに転居することになりました。二人は、日本人学校ではなく、現地学校に通うそうです。今月号より、お母さんのご協力を頂き、二人の奮闘ぶりをニッセイト・ニュースでご紹介します。
いよいよ出発
いよいよアメリカへの出発の日が近づいてきました。昨年の4月、約5年間の予定で主人のサンフランシスコ赴任が決まり、私たちの一番の心配は、子供たちの教育のことでした。兄、達也は、小学校6年生。日本にいても大変な時期なのに、アメリカの現地校でいきなり全て英語の授業で本当にやっていけるのだろうか、といったことです。 特に達也の場合、2歳半から5歳半までをオランダ、ロッテルダムの幼稚園で過ごし、その時に苦労した記憶が残っているようでした。転勤と聞いて、案の定、拒絶反応を示しました。私たちも、最初は、主人の単身赴任を考えましたが、期間も長く、多感な時期を父親無しで過ごすのは良くないと考え、思案を巡らせました。そして、家族の話し合いで出た結論が、一年間、母子は日本に残り、達也の小学校卒業、沙耶の幼稚園卒園を区切りに渡米しようということになりました。そして、いよいよその日が迫っています。 達也の場合、ニッセイトで6年間、沙耶の場合1年間ではありましたが、先生から教えていただいたことを基盤に、アメリカの学校でそれぞれ頑張ってくれることを願っています。まだまだ不安はたくさんありますが、前向きに考え、楽しいアメリカ生活を送りたいと思います。
1997年3月 平野悦子
■おことわり
ご好評を頂いておりました「環境まいとーく」は、ひとまず終了とさせて頂きます。今月号より「がんばれ沙耶ちゃん、達也君!」を連載致します。
編集後記
英語のことわざに、” All work and no play makes Jack a dull boy. “があります。直訳すると、「勉強や仕事ばかりで遊びが無いと鈍い子になってしまいますよ」ということです。勉強と遊びにもバランス感覚が必要ということでしょう。最近、とてもハードなスケジュールをこなしている子供たちも多いようです。10時過ぎにランドセルを背負った塾帰りの子供たちを見かけることがあります。どこかで思い切り遊ぶ時間も持っていて欲しいなと思います。ニッセイトに通う生徒の中には、ニッセイトを息抜きの場にしている子も少なくないようです(?!)。
新たなコラム「読者の広場」を設けます。このコラムは皆さまの投稿で構成されます。お気軽にご参加ください。
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ニッセイト英語専門教室
N.N編集部「読者の広場」係