1996年9月号(Vol.21)楽しかったよ、サマーキャンプ
さて、9月です。この夏、皆さんは素敵な思い出をつくれましたか?ニッセイトでは、7月31日から8月1日までの2日間、サマーキャンプを実施しました。場所は、川越に最近オープンしたばかりの乗馬クラブ、アリスの牧場。生徒21名、外国の子ども5名、スタッフ4名の総勢30名が参加しました。今月号は、サマーキャンプを中心にお届けします。
『やさしく、たくましく、クリエイティブに!』
いま、私たちの生活には「便利」があふれています。スイッチひとつで電気がつき、お湯もすぐ沸かせます。それはそれで、必要不可欠なものでしょう。しかし、一方では、子どもたちが家事を手伝うということもめっきり減ってしまいました。「時間があるなら少しでも勉強して欲しい」というのが、多くのお母さん方の本音でしょう。その結果、子どもたちが自立して生活できる能力が確実に落ちている、という事実を私たち大人はどう受け止めるべきなのでしょうか。 そこで、今回のキャンプでは「やさしく、たくましく、クリエイティブに!」というテーマでこの問題に取り組みました。共に生活する中で、役割分担し、協力しあい、相手を思いやり、そして、お互いどうすればより楽しく生活できるのかを工夫する、といったことを体験するのが、このサマーキャンプの狙いでした。
はじめてのことばかり
今回は乗馬をキャンプに取り入れましたが、一部の生徒を除きほとんどが初体験。ポニーでは、駆け足なども体験でき、皆エキサイトしていました。また、馬に草をあげたり、馬の糞を片づけるのをお手伝いしたり、汗をかいた馬の体をふいてあげたり、と馬へのあたりまえの思いやりも学びました。慣れないキャンプ生活では、火おこしも予想以上に大変でしたが、最初はただ新聞紙だけを燃やしていた子供たちも徐々にコツをつかみ、最後の方ではかなり手際良くできるようになりました。また、箸づくりでは、せっかく作ってもすぐなくしてしまったり、作ってはみたものの使いづらくて作り直している子どももいました。そして、家族の分までお土産に作っていた子どももいるなど、箸づくりひとつにもそれぞれの個性が見え隠れしていました。誇らしげに自分で作った箸で食事をする子どもたちの姿は、ある種の満足感に包まれている様で、とても印象的でした。最初は、知らない人との共同生活に戸惑いを見せていた子どもたちも、徐々に自分の役割を見出し、食事つくりや他のアクティビティーに奮闘していました。
家族キャンプのおすすめ
短期間にしては少し盛り沢山の企画ではありましたが、子供たちは皆、満喫していたようです。全般を通して感じられたことは、子どもたちの興味、好奇心は旺盛で、機会さえ与えられればそれに順応する能力を備えている、ということです。慣れない手つきながらも一生懸命に取り組む姿は微笑ましく、また、たくましいものでした。是非、ご家族でキャンプ旅行などの機会を持ってみてください。きっと、普段では見られない家族の姿がそこにはあると思います。自然の中で心を開放し、お互いの関係を見つめ直すとき、新しいコミュニケーション体験が待っていることでしょう。
1996年度第1回英検合格者発表
5級 大橋美咲(池、中1) 坂本夏実(池、中1)
渡辺香奈芽(池、中1) 寺岡実紀(池、小4)
4級 沖藤明日香(池、小5) 内藤香織(川、小6)
3級 高橋雄二(川、中3) 赤坂実朗(川、中3)
今月のへぇ~!
日本が最初にヨーロッパと交流を持ったのは、13世紀の終わりの頃です。ポルトガル、スペインが最初に日本を訪れた国でした。パンやカステラはポルトガル語からきているのはご存知だと思いますが、ポルトガルでも使われている日本語があります。何だと思いますか?それは大きなナイフのことで『KATANA(刀)』というそうです。へぇ~。
編集後記
日本の子どもたちは、諸外国の子どもたちに比べて家の手伝いをする時間が非常に少ないそうです。あるテレビ番組でスイスの子どもたちに「何をしている時が一番好きか」という質問をしたところ、圧倒的に「家族と一緒に過ごしている時」という答えがかえってきました。ちなみに日本の子どもたちの一位は「友達と遊んでいる時」そして次に「ファミコン」でした。どこか空しさを感じます。生活の知恵の多くは家族から養われます。本当に子どもの成長を望むのなら、もっと子どもたちに、責任をもって家事の一部を担わせても良いのではないでしょうか。そこから生まれるコミュニケーションこそ、家族のコミュニケーションの基本だからです。