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2014/11/26

「国語できない子は英語も伸びない」

  中央教育審議会では、英語教育の早期化も重点的に議論されています。
文部科学省は、すでに「中学校の英語の授業を原則として英語で行う」ことを決めました。
これは、とんでもないことです。
日本人の先生が現在の文法中心の教科書を使って、英語の文法を英語で教える?
考えただけでもぞっとします。
日本語の文法用語を並べられても不可解なものを、英語で説明されたら余計にチンプンカンプン。
英語を嫌いな生徒が余計に増えかねません。

 

「使える英語」を身につける」ことは大切です。
しかし、そのためには現在の入試制度、教員人材、教科書など全てを根本から見直さなければ頓挫することは目に見えています。
現に、現在の高校2008年12月に発表された高校・新学習指導要領案では、「英語の授業は原則として英語で行う」とされましたが、現実問題としてほとんどの高校では既に挫折しているようです。そもそも、文法偏重の入試制度が変わらないまま、「英語の授業は英語で」という方に無理があります。
なんでこんなに大事なことがそんなに簡単に決まってしまったのかが不思議でなりません。

 

一方、私立高校など一部の高校ではネイティブ講師を呼び込み、積極的にコミュニケーション活動に力を入れています。
ニッセイトには私立高校に通う高校生が在籍していますが、クラスでディベートを行ったり、英語のエッセイを書いたり、そのレベルはとても高度なコミュニケーション能力を身につけるものになり、本来の英語教育の理想を先取りした内容になっていることも感じられます。

 

2020年より、「外国語活動」として実施している授業を、正式な教科「英語」として小学5年、6年に格上げするとしました。
これまでの「外国語活動」は、2018年より小学3年生から実施することを決めました。3年後です。

 

下村博文文科相は「受験英語からコミュニケーション英語へ大きな転換となる」との考えを示し、「社会のグローバル化が進む中、国民の英語力を高めなければ国際競争に勝ち残れない」と述べています。
今後ますます子どもたちの英語教育は熱を帯びてくるものと思います。
一方、福岡大客員教授(コミュニケーション科学)の小野博氏は、「国語のできない子供は英語も伸びない」と指摘しています。
 
小野氏の考察には、私も賛同します。
上辺の日常英会話であれば習得にそれ程時間を要しません。
しかし、これからのグローバル時代、世界を競争相手にその程度の英語力では不十分です。
国際競争に勝ち残っていくためには、個々がしっかりとしたアイデンティティを持ち、母国語がしっかり身に付いていることが不可欠です。
長年、子供の英語教育に携わる中で、「着実に伸びている生徒さんは国語力がある」ということは事実と感じています。
国語力を身につけるには、読書と会話が欠かせません。
幼少時に読書の面白さに触れないと、その後も読書を敬遠するようになります。
「長文問題は嫌い」っといった感じです。
しかし、何か知識を得ようとする時、読書は不可欠です。

 

幼少時にはぜひ、絵本の読み聞かせなどしてあげ、言葉の面白さを体験させてあげて欲しいと思います。
そして、本の内容など、共感し合ったところを言葉で語り合うことです。

 

母国語のしっかりした土台がないまま、ブームに乗って、「これからは英語が必要だから英語のプリスクールに入れよう」といった考えは、将来、何らかの悪影響を及ぼすのではないかと危惧されます。